最近話題となっているケトジェニックダイエット(ケトダイエット)、低炭水化物ダイエットとして知名度の高いアトキンスダイエットをご存知でしょうか?どちらも炭水化物を制限してカラダへのエネルギー供給を「糖質」から「脂質」に変えることで痩せるという低炭水化物ダイエットになります。では何故、アトキンスダイエットの後にケトジェニックダイエットが話題となっているのでしょうか?今回2つの低炭水化物ダイエットの方法を比較してみました。
アトキンスダイエットとケトジェニックダイエットを知ろう!
アトキンスダイエットとは?
Robert Atkins博士の著書「アトキンス博士の食事革命:Dr. Atkinsʼ Diet Revolution」によってより広く認知されるようになった低炭水化物ダイエット。
エネルギーとなっている「糖質」を制限し、糖質の代わりに「脂肪」をエネルギー源として摂取する食事法です。アトキンスダイエットは4つのフェーズで炭水化物の摂取方法を分けた「Atkins 20」と呼ばれるダイエットメソッドに沿って炭水化物ダイエットを実施します。Atkins20の各フェーズをみてみましょう。
炭水化物の摂取量を2週間の間、一日20グラム(g)~25グラム(g)に制限。
高タンパク質、脂質の高い食べ物や低炭水化物である野菜を代わりに摂取。
フェーズ2(バランシング)
ナッツや低炭水化物な野菜の摂取量を少しずつ増やす。そして少量の果物を摂取する。
炭水化物の摂取量は一日25グラム(g)~50グラム(g)まで。
フェーズ3(チューニング)
この時点で脂肪の燃焼効率は上がり理想の体重まであと一歩。炭水化物の量を増やし体重の減少を調整する。
炭水化物の摂取量は一日50グラム(g)~80グラム(g)まで。
フェーズ4(メンテナンス)
健康的な食事を心がけ体重管理に気を付けながら炭水化物を食べる。
炭水化物の摂取量は一日~100グラム(g)まで。
ケトジェニックダイエットとは?
1920年代に癲癇(てんかん)の療法として研究が進められてきた食事療法。その後さらに研究が進み医学的にもその効果がが認められ近年その食事の摂取方法は「ケトジェニックダイエット(通称:ケトダイエット)」として広まりを見せている。低炭水化物ダイエットの仕組みはアトキンスダイエットと同様、エネルギーとなっている「糖質」を制限し、糖質の代わりに「脂肪」をエネルギー源として摂取する食事療法です。2017に発表された論文※によるとケトジェニックダイエットを10週間実施した被験者の体重、脂質、BMI指数、HbA1c(ヘモグロビンA1c)において著しい改善がみられたという研究結果が発表されています。
※Diabetes & Metabolic Syndrome: Clinical Research & Reviews , 2017, Madeline K.GibasKelly J.Gibas
関連記事:食べて痩せられる!?ケトジェニックダイエットとは?脂肪を燃焼させるカラダの仕組み
アトキンスのダイエットは4つのフェーズに分かれた低炭水化物ダイエットであることに対し、ケトジェニックダイエットは「何をどれくらいの比率で食べそれによってケトン体がどれくらい増えるのか」という点における食事の摂取方法のみ推奨するダイエットになります。
- 一日に摂取する炭水化物を20グラム(g)以下に保つ
- 一日の摂取カロリーの75%を脂質、20%をたんぱく質(プロテイン)、5%を炭水化物という配分にする
- 短期間、「脂質」「たんぱく質」「炭水化物」の比率を保ちカラダのエネルギー効率をケトーシス状態に変換する
- 排尿よりケトン体の数値をモニタリングする
ケトン体の合成を増産にあたって摂取する脂肪によって、以下副作用を起こす可能性もあるのでケトジェニックダイエットを実施する際は、事前に何を摂取したらいいのか調査の上で実行することが重要です。
摂取する脂質により及ぼすカラダへの影響
→吐き気、頭痛、精神疲労
→ビタミン・ミネラル不足
→腎臓結石
参考URL:Risks and Benefits of the Keto Diet Everyone Should Know
アトキンスダイエットとケトジェニックダイエットの共通点
アトキンスダイエットもケトジェニックダイエットもエネルギーとなっている「糖質」を制限し、糖質の代わりとなるエネルギー源「ケトン体」の合成をするケトーシスの状態にもっていくために「脂肪」を摂取する低炭水化物・高脂肪食ダイエットである点は一緒。
ケトーシスとは?
糖質の代わりに脂肪から合成されたケトン体が代替エネルギーとして供給されている状態を「ケトーシス」と呼びます。
アトキンスダイエットもケトジェニックダイエットもどちらも炭水化物を制限することにより、このケトーシスの状態にし脂肪燃焼効率を上げるダイエットです。
ケトン体生成経路
エネルギー源として使用する糖質が欠乏すると、代替のエネルギー源として脂肪が活用され、肝臓でケトン体が合成されます。
合成されたケトン体は、血中を介して肝臓以外の脳や心臓などの臓器に運ばれ、エネルギー源として消費されます。
アトキンスダイエットvsケトジェニックダイエットの違い
アトキンスダイエットとケトジェニックダイエットは上述した通り非常によく似ているのですが、
決定的に違うのはたんぱく質(プロテイン)の摂取量について。アトキンスダイエットは炭水化物の量を制限すればたんぱく質の摂取量は無制限、一方ケトジェニックダイエット(ケトダイエット)は一日の摂取カロリーにおいてたんぱく質の比率を20%に保つ必要があります。
もう一つ違いとしては、アトキンスダイエットはフェーズ1と2においては「脂肪」の燃焼効率を上げるケトーシス状態に保ち、その後は炭水化物を摂取して通常の「糖質」によるエネルギー供給に戻します。一方で、ケトジェニックダイエットは定常的に低炭水化物を保ちケトーシスを保つダイエット法になります。
アトキンスダイエットvsケトジェニックダイエットどっちがオススメ?
アトキンスダイエットとケトジェニックダイエットどちらも効果が認められているため、どちらがより優れているのかという甲乙はつけがたいです。海外の情報※によるとアトキンスダイエットやケトジェニックダイエットのような低炭水化物ダイエットは、糖尿病、心臓病、肝臓病の持病を持っている人に有効だそうです。また、どちらのダイエット方法も短い期間での実施であれば安全と言われています。また、通常の脂質を制限するダイエット法よりも低炭水化物ダイエットは効果的と言われています。
長期的なダイエット法としてはどういう副作用があるのか不明確な部分も多くあるため、長期的な実施はおすすめ致しません。
そういった意味では、アトキンスダイエットはフェーズ1~フェーズ4にかけてケトーシスから糖質燃焼型エネルギーに戻していく手法なので、長期的に取り組むダイエット法としては最適なのかもしれません。
※参考URL:What’s the Difference Between Keto and Atkins?
ここからは筆者の主観になるのですが、アトキンスダイエットは実施する内容(フェーズ)が決まっているのに対し、ケトジェニックダイエットは血中のケトン体を計測してケトーシス状態になっているか調べるという(診断→改善→診断の繰り返し)どちらかというと医学的、研究者的なアプローチになっていると思います。
いずれにせよ、食べながら痩せられるという点が最大のメリットになるので、正しいダイエット法で健康的に痩せてくださいね。